Dr.コールの質を上げる
医師が判断しやすい報告の組み立て方

Nurse Break Article

Dr.コールの質を上げる
医師が判断しやすい報告の組み立て方

医師へ電話をかける直前、「何から話せばいいのだろう」「聞かれたことに答えられなかったらどうしよう」と緊張した経験はありませんか。限られた時間で患者さんの状態を伝えるDr.コールでは、情報量の多さよりも、医師の判断に必要な情報をわかりやすい順番で伝えることが大切です。

① 電話の前に、今回伝える情報を選ぶ

報告前に確認しておきたいのは、患者さんの氏名や診断名、現在のバイタルサイン、症状が現れた時刻、その後の変化です。既往歴や検査結果をすべて盛り込むのではなく、今回の変化に関係する情報を選び、「何が起きているのか」「自分はどう捉えているのか」「医師に何を依頼したいのか」を整理しておくと、電話でも落ち着いて話しやすくなります。

患者さんの急変が疑われる場合は、情報をそろえることに時間をかけてはいけません。院内の緊急コール基準に従い、応援要請や緊急対応を優先します。

② 最初のひと言で、目的と緊急度を伝える

電話がつながったら、所属と氏名、患者さんを特定できる情報に続けて、現在の問題を端的に伝えることで、医師は電話の目的と緊急度を意識しながらその後の話を聞けます。

入院までの経緯や既往歴を長く説明する前に、いま何が起きているかを伝え、背景は必要な範囲で補いましょう。

Dr.コール時の報告イメージ

③ “いまの数値”だけでなく、変化を伝える

バイタルサインは、現在の数値だけでは患者さんにとってどの程度の変化なのかが伝わりにくいことがあります。変化の幅や速さ、症状が現れた時刻、改善しているのか悪化しているのか、変化が続いているのかも判断に役立つ情報です。

伝え方の例 「血圧が90 mm Hgです」だけでなく、
「普段の収縮期血圧は120 mm Hg前後ですが、30分前は100 mm Hg、現在は90 mm Hgと低下しています」

数値に表れない“いつもとの違い”も見逃せません。「普段は会話ができる方なのに反応が鈍い」「いつもは歩ける方が立ち上がれない」といった気づきは、患者さんを継続して見ている看護師だからこそ伝えられる情報です。

④ 指示を受けたら、復唱と再コールの確認を

医師から指示を受けたあとは、聞き取った内容を復唱し、認識にずれがないかを確かめます。さらに再度連絡の目安も確認します。

確認したいこと

  • どのような状態になったら再度連絡するのか
  • いつまでに改善しなければ再コールするのか

再度連絡する目安を共有しておくことで、その後の観察や行動が明確になります。

押さえておきたいこと

Dr.コールは、よどみなく話すことが目的ではありません。患者さんの変化を共有し、医師の判断と次の行動につなげるためのコミュニケーションです。迷ったときこそ、いま何が起きていて、何を依頼したいのかを意識してみましょう。

SBARを使った報告の組み立て方

せたがや内科・神経内科クリニック
院長 久手堅 司(くでけん つかさ)

せたがや内科・神経内科クリニック院長。医学博士、総合内科専門医、神経内科専門医、頭痛専門医。気圧予報・体調管理アプリ「頭痛ーる」監修医師。
「気象病・天気病外来」「寒暖差疲労外来」「自律神経失調症外来」などの特殊外来を立ち上げ、これまでに8,000名を超える患者を診療。患者目線で行う診察と分かりやすい解説がSNSやメディアで話題を呼んでいる。
著書に『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)、『自律神経これ1冊ですべて整える』(東洋経済新報社)、監修に『面白いほどわかる自律神経の新常識』『毎日がラクになる!自律神経が整う本』(宝島社)がある。

久手堅司先生