舌と心を満たす大人の贅沢
―シャンパンの魅力と楽しみ方―

集中力とプレッシャーの連続である医師の仕事。心をときほぐすための一日の終わりに、シャンパンを楽しむのはいかがですか。
口に入れた風味だけではなく、ペアリングによって味わい方も変わるシャンパンは奥行きを楽しめる大人の贅沢。シャンパンの魅力やおすすめのペアリングについて紹介します。

シャンパンとスパークリングワインの違い

 混同されやすいシャンパンとスパークリングワイン。3気圧以上の炭酸ガスを含んだ発泡性ワインの総称であるスパークリングワインの中の一種がシャンパンです。
 厳しく設定された定義を満たしたスパークリングワインのみが、シャンパンを名乗れます。スパークリングワインよりも泡がきめ細かい点も特徴的です。

シャンパンの定義

 AOC法により定義は細かく定められています。
■ 産地
 フランス国内で最北のワイン生産地であるシャンパーニュ地方で生産されたもののみ対象です。フランス国内だったとしても、ほかの地方で生産されたものは含まれません。
■ ブドウ品種
 シャンパンに使用することが認められているのは、ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエ、プティ・メリエなどの7種類。認定されたブドウ品種以外で生産されたものは、シャンパンとして認められません。
 ハイブリット品種として誕生したヴォルティスは、ブレンドにのみ使用が認められています。正式に認可されれば、使用できる品種は8種となります。

■ 製造方法
 スパークリングワインの製造方法はいくつかありますが、シャンパン製造で認められているのはトラディショナル方式のみです。伝統的な方法でありますが、保存場所の確保やコスト、手間がかかります。一次発酵・二次発酵をさせたのち、15ヶ月以上熟成させるなど、ゆっくりと時間をかけて丁寧に作られます。ヴィンテージシャンパンになると熟成期間は36ヶ月以上。高級品として扱われるのも納得の製造工程です。

ブドウの品種で変わる味の違い

 使用が許可されているブドウ品種は7種類ありますが、メインで使用されているのは「ピノ・ノワール」「ピノ・ムニエ」「シャルドネ」の3種類です。この3種類でブドウの栽培面積の99%を占めるほど、主要品種として扱われています。
■ ピノ・ノワール
 旨味やコクを感じられる芳醇なアロマが特徴的な黒ブドウです。
■ ピノ・ムニエ
 やわらかく飲みやすい風味を出す黒ブドウです。まろやかさとフレッシュさが調和します。
■ シャルドネ
 柑橘系のさわやかな香りやすっきりとした酸味が特徴の白ブドウです。暑い日にもさらっと飲める風味となります。

糖度で変わる味の違い

 シャンパンを選ぶときの基準となるのが甘辛度。
 熟成後は発酵時に生まれた澱(おり)を抜き、目減りしたあとは、リキュールで液体量や味のバランスを調整していきます。リキュールを添加する工程をドサージュと呼び、加える量で甘口・辛口が決まります。
 甘辛度は7段階に分類され、残糖度が高いほど甘さを感じられます。スタンダードとされているのが、糖度12%前後のブリュット。酸味が苦手な人は甘口を、ビールが好きな人は辛口を選ぶと好みのものに出会いやすいでしょう。
 残糖度32〜50gのドゥミ・セックはやや甘口のバランス良い味わいなので、カクテル感覚で楽しめます。
 アルコール界でのトレンドとなっているドライな風味を楽しむのであれば、残糖度0~6gのエクストラ・ブリュットもおすすめです。

【種類別】おすすめのペアリング

 憩いのひとときに一杯のグラスに注がれたシャンパンが手元にあるだけでも、充分に味わいを感じられます。しかしさらにシャンパンの風味を堪能するのであれば、ペアリングにこだわるのも良いでしょう。
 シャンパンの種類によっておすすめのペアリングが変わりますが、今回は白ブドウで作られた「ブラン・ド・ブラン」と、黒ブドウで作られた「ブラン・ド・ノワール」に特化して紹介します。

ブラン・ド・ブラン
 白ブドウで作られた「ブラン・ド・ブラン」。フレッシュですっきりとした酸味を味わえるため、白身魚や鶏肉、貝類などとの相性が抜群です。特に白身魚のカルパッチョやお刺身、お寿司など繊細な味わいが特徴的な和食とのペアリングがおすすめ。
 チーズと合わせるのであれば、優しい口当たりのカマンベールチーズやミルクの風味をしっかりと感じられるクリームチーズと合わせるとお互いの風味を引き立てられます。

ブラン・ド・ノワール
 黒ブドウで作られた「ブラン・ド・ノワール」は、旨味やコクを味わえます。鶏肉やジビエとの相性が良く、鴨肉のローストや赤身肉のステーキなどと合わせると肉の旨味と見事に調和します。
 しょう油や味噌など、旨味を感じられる調味料で味付けした料理とのペアリングもおすすめです。意外な組み合わせになりますが、餃子とのペアリングもシャンパン通に注目されています。肉汁の旨味とスパイシーな風味をシャンパンが包み込みます。

【大人の嗜み】シャンパンの保存方法と開け方

保存方法
 長い歳月をかけて丁寧に作られたシャンパンだからこそ、最大限おいしい状態で味わいたいもの。そのためにポイントとなるのが、保存方法です。アルコールの種類によって保存方法はさまざまですが、シャンパンは飲む前に冷やしておくのが大人の嗜み。冷やすときには家庭用冷蔵庫で4~5時間ほどが目安となります。
 開封したあとは当日に飲みきったほうが良いですが、残ってしまった際にはシャンパンストッパーやシャンパンセーバーで栓をしましょう。開封後2~3日くらいが保存期間の目安です。

開け方
 開封する際には少し緊張感があるのが正直なところ。しかしコツさえ掴めば、安全にスマートに開封できます。ポイントは開封前はゆらさないこと、飛ばないようにコルクを抑えておくことです。留め金をゆるめた瞬間からコルクが飛ぶ可能性があるため、抑えた状態でボトルを回してゆっくりと開けていきましょう。コルクに圧を感じますが、焦らずにゆっくりとゆるめていくことが大人の嗜みです。

使用するグラスにこだわりを
 シャンパンに適しているグラスはフルート型・チューリップ型・クープ型の3種類。炭酸をしっかりと閉じ込めるフルート型は、すっきりとした味わいが持続します。香りを堪能するのであればチューリップ型が良いでしょう。クープ型は炭酸が抜けやすいですが、グラスを傾けずにスマートに飲めます。

一日の終わりに、特別な一杯を

産地や品種、製造方法にこだわり作られたシャンパンは、使用するブドウによって風味が変わったりペアリングによって味わい方が変わったりと、楽しみ方はさまざま。1日の終わりに舌と心を満たす大人の贅沢時間を過ごしませんか。