非日常を味わう
ほっと一息つける鉄道旅行のすすめ

現代人は日々の忙しさに追われがちです。生活することばかりに意識がいってしまい、充実した時間、穏やかな時間を忘れてはいませんか?そこでゆったりとした時間を過ごせる鉄道を利用した旅行をご紹介します。
忙しい日々の生活を忘れられるひとときを過ごしてみませんか?

おいこっと

長野・十日町~長野

 おいこっとは、「日本のこころのふる里」をイメージしたローカル線として運行する、田舎へ里帰りしているような気分を味わえる列車です。外装は赤と白のコントラストが目を引き、かやぶき屋根やふすまをイメージしたデザインがレトロな雰囲気をかもし出しています。また、長野県出身の高野辰之が作詞した唱歌「故郷」に登場する兎や山、川などがアイコンとなってかわいらしさを添えています。
 車内は古民家をイメージし、座席も座布団を思い出させる柄で、ロールスクリーンには障子のデザインを施しました。「おいこっとあてんだんと」と呼ばれるもんぺ姿のアテンダントも乗車しており、沿線の案内や記念撮影の手伝いなど、旅を快適にしてくれます。
 飯山線は長野の山間部を通る路線で、車窓からは田んぼや畑、山々などの田舎の風景が楽しめ、まるで子どものころにタイムスリップして、遊んだ風景がよみがえるようです。地域の企業などが協力し、踊りや語りなど懐かしい日本の良さを感じるイベントで長野の魅力も発信しています。事前に予約しておけば車内で郷土料理のお弁当も楽しめるので、田舎の風景を見ながら山の幸を堪能するのも良いでしょう。沿線には野沢温泉、馬曲温泉もあり、途中下車して温泉に入るのもおすすめです。
 おいこっとでは電車の中なのにどこか懐かしい、ふるさとに帰ったような穏やかな時間を体験できるでしょう。

ラ・マル・ド・ボァ

岡山・岡山~宇野、岡山~三原、岡山~日生、岡山~琴平

 岡山駅から4方面への運行をしているラ・マル・ド・ボァは車内で旅をイメージしたアートに触れられます。外装は白を基調とし、旅をイメージさせるカバンのイラストが印象的です。
 内装はフローリングの床やアート作品を飾ったインテリアを施し、書斎の中にいるような雰囲気で、オリジナルBGMにより落ち着いたくつろげる空間を提供しています。窓向きに設置されたカウンター席も各車両に常設し、景色をじっくり楽しみながらの運行も癒しの時間となるでしょう。
 4方面の行先別に違った特色があり、伊部や琴平では備前焼や金刀比羅宮などの歴史を感じる体験を、宇野では現代アートに触れられ、尾道では尾道水道を臨みながらサイクリングなど、どの方面に向かうか迷ってしまうほど魅力的です。また車内販売カウンターが常設されており、地域の特産品とコラボした商品も購入可能です。
 また、自転車を積み込めるスペースがあり、事前に申し込みをしておけば自転車も積み込みできます。下車先でのんびりサイクリングをしながら観光地を巡りたい方にも快適な旅となるでしょう。

べるもんた

富山・城端線、氷見線

 正式名称は美しい山と海を意味する「ベル・モンターニュ・エ・メール」といいます。これを親しみやすいように「べるもんた」と愛称を付けました。
 車内は外装に合わせた濃いグリーンで統一された座席で、落ち着いた高級感が漂います。富山県の伝統工芸品である井波彫刻が8作品展示され、木の温もりと美しい彫刻が電車内であることを忘れてしまいそうです。また、吊り革には高岡銅器をイメージした銅箔が使用されています。ほかにも、庄川挽物木地の茶碗や、越中三助焼の湯飲みなど沿線の伝統工芸品の展示もあり、1車両とコンパクトながらも、沿線の魅力が存分に感じられるデザインとなっています。
 また運行中の最大の楽しみに沿線の雄大な自然を忘れてはなりません。べるもんたには曜日によって分けられた氷見線、城端線の2路線があり、どちらも違った魅力があります。まず氷見線は、富山湾へ向かう路線で、窓からは一面の海が飛び込んできます。海岸線ギリギリを通るので遮るものが何もなく、まるで海の上を走っているようです。一方の城端線は山に向かって運行し、大きくそびえる立山連峰を遠くに望みながら田園風景を進みます。終点の城端には曳山会館があり、約300年の歴史をもつ迫力ある曳山の展示を間近で見られます。
 車内では、事前の予約は必要ですが、富山湾の新鮮な海鮮が楽しめるお寿司やお刺身、丼などの食事も販売しています。寿司は寿司職人が乗車し、直接握ったものを提供してくれる珍しい演出も魅力です。地酒の飲み比べや現地のおつまみセットもあり、ほろ酔い気分での旅も日常を忘れられるひとときでしょう。

旅するレストラン「52席の至福」

埼玉・秩父

 52席の至福はその名のとおり、座席数が52席だけのレストラン車両がある特別な列車です。東京から、埼玉県秩父までを結ぶ片道の運行で、洗練された車内でコース料理を味わいながら贅沢な時間を過ごします。乗車時には入り口にレッドカーペットが敷かれ、始まりから普通の鉄道旅行ではない特別感を演出しています。
 外観は秩父の四季と荒川の水をイメージし、1車両ずつ季節を感じるデザインです。車両は建築家の隈 研吾氏が監修しており、地域の木材をふんだんに使用しました。2、4号車のダイニングはそれぞれデザインや雰囲気がガラッと変わり、どちらの車両も贅沢な装いもありつつ、くつろげる空間となっています。約3時間の乗車時間で、コース料理を楽しむのもよし、行き先までの景色の移り変わりを楽しむのもよしです。
 提供されるコース料理は、有名シェフや有名店の監修で作られた特別なコースです。さらに、沿線の食材を使用した至福の一皿も提供されます。どちらも3か月ごとにメニューが変わるため、一度だけではなく何度も利用したくなるでしょう。3号車はキッチンが完備された車両で、オープンキッチンでは、シェフたちが料理を作っている姿も見られる点も特別感を演出するひとつ。
 運行コースは2つあり、ブランチコースは池袋か新宿から、ディナーコースは秩父からの出発です。ブランチコースは秩父まで行き、午後からはのんびり散策がおすすめ。ディナーコースでは、当日朝から秩父へ行き、ゆっくりと観光を楽しんでから帰りに利用するのがおすすめです。秩父での旅の余韻に浸りながら帰り道も特別な一日を過ごせます。
 秩父での観光は秩父三社をはじめ、歴史を感じる施設が多くあります。また、首都圏からほど近い場所でカヌーやアスレチックなどのレジャー体験もでき、自然あふれるスポットも魅力です。

※写真は全てイメージです