ワインのある生活がより満たされる
希少性への造詣と技術の習得
はじめは手探りで楽しんでいたワインも、経験を積むにつれてより深く知りたい、テイスティングも楽しみたい、と次のステップに進んだ楽しみ方を求めるようになるでしょう。希少価値のあるワインに触れることやテイスティングを習得する意義、ワインコレクションの楽しみ方などについて改めて考えてみませんか。

希少価値の高いワインとは
自分がもっとも心を奪われるワインが、その人にとって高い希少価値を持つワインであることは間違いありません。しかし、一般的に「希少価値が高い」とされるワインを知っておくのもワインを楽しむ要素のひとつです。
◆ 限られた本数のみの生産
希少価値の高いワインは、品質を高めるために限られた本数のみを生産することがほとんどです。限られた広さや決められた畑のみで生産されたブドウのみで作られ、必然的に本数が少なくなり、結果としてレアリティの高さが際立つようになります。
◆ 高品質であること
ワインの品質はブドウの質にも左右されます。自然のなかで育つブドウは天候や土壌の影響を受けるため、毎年同じ出来や品質であるとは限りません。希少価値のあるワインの生産には、生産者が認めた一定以上の品質を保ったブドウが使われます。ブドウの出来が悪ければワインの生産自体を取りやめることもあるほどです。高品質のブドウで作られたワインは必然的に高品質な仕上がりになり、少ないながらも多くの人に求められる逸品になります。
◆ 年数が経過し現存数が少ない
生産されてから年数が経過し、現存する数が少ないワインも希少価値が上がります。需要に比べて供給が上回れば価格上昇は市場原理として当然であり、価値の高いものとして扱われることに疑問はありません。ただし、この場合は希少価値が高いからといって高品質とイコールではない点に注意が必要です。なかには品質が劣化しているものもあり、高品質のワインというよりはコレクションアイテムとして希少価値を見出されていることもあります。
テイスティングでワイン技術の習得
テイスティングの習得はワインの奥深さをさらに楽しむことにつながります。知識のインプットやテイスティングのスキルを上げるトレーニングなど、楽しみながら進めてみてはいかがでしょうか。
◆ 知識をたくわえる
テイスティングを楽しむのなら、そのワインがどのような特徴を持つかを理解し、表現できる知識をたくわえましょう。「ブドウの品種」「生産地」「ヴィンテージ」の三項目の知識はとくに大切です。たとえば、暖かい土地で育ったブドウの熟成度は高く、ワインにすると色濃く濃厚な味わいに。涼しい土地のブドウは淡い色とクールな酸味が特徴のワインになります。加えて生産地の「あの年のあの地方は天候が悪かった」などの事情をプラスして考えられるようになれば、出来の違いが分かるようになり、ヴィンテージの特徴を引き出しやすくなるでしょう。
◆ 視覚・嗅覚・味覚のトレーニング
感覚器官が研ぎ澄まされるほどワインの微妙な特徴をキャッチできるようになり、テイスティングの技術が上がります。グラスに注いだときの色合いは淡いか、濃いか。赤色でもルビー、ガーネット…などさまざまな違いがあり、視覚からだけでも産地や味わいを予想させてくれます。
さらに嗅覚で香りの種類や香りの立ち方を受け取り、どのような味わいかの予想がさらに進むように。最後に口にふくみ、どんな味わいか、酸味や舌触りは…と感じ取って、視覚や嗅覚から得た予想と一致するかどうかを確認しましょう。
感覚器官から与えられる情報と自分の予想が一致したときの喜びは、テイスティングができる人ならではの楽しみです。より多くの情報をワインから得られるよう、視覚・嗅覚・味覚をぜひ鍛えてみてください。
◆ 知識と感覚を融合させる
テイスティングを繰り返すうち、やがて感覚で得た味わいがたくわえた知識と融合し、「これはあの産地のあのワイン」という予想を立てやすくなるでしょう。
銘柄まで当てるためにはより多くの経験が必要です。好みのワインを手始めに、さまざまなワインに触れ、テイスティングの経験を積んでみてはいかがでしょうか。
記憶と価値を抱くワインコレクションの楽しみ方
経験が積み重なるにしたがって、いつの間にかコレクションが増えていることは珍しくありません。どのワインにも思い出があり、価値もあることでしょう。自分が作り上げたコレクションを楽しむことも、ワインならではの世界です。
◆ ワインセラーで風味の変化を感じる
ワインの保管はやはりワインセラーが一番。新聞紙にくるんで冷蔵庫へ…という方法も理にかなってはいるのですが、せっかくのコレクションなら美しく並べておきたいものです。見た目だけではなく、ワインセラーは日々熟成していくワインの変化を楽しむことにもうってつけです。適切な温度で管理できるため、品質を保ちながら熟成を進められます。
◆ アートラベルの希少価値を楽しむ
ヴィンテージをコレクションするのであれば、アートラベルも楽しみのひとつになるでしょう。ヴィンテージのアートラベルはその年限定のデザインです。そのアートラベルが貼られたワインは年が変われば二度と生産されません。限定品ならではの希少価値を目でも楽しませてくれるでしょう。
◆ 同好の士との交流で刺激を受ける
同好の士とコレクションしたワインを持ち寄り、交流会を開くのも楽しいひとときです。自分の好みで作り上げたコレクションをお披露目する機会になるほか、同好の士が新しい知識や刺激をくれる有益な時間にもなるでしょう。あなたが推薦するワインに興味を持つ人もいるかもしれません。そのときは少しばかり先達の顔をして、ひそかな満足感に浸ってみてはいかがでしょうか。
一歩深く踏み込んだワインの世界にある新しい魅力
ワインの世界は奥深く、初心者から一歩踏み出すのもなかなか時間がかかると思うかもしれません。しかし、テイスティング技術やコレクションに知識と経験が積み重ねられていくことによって、自然と新たなステップへ進んでいくことでしょう。