幅広い世代に注目される「クラフトサケ」とは
基礎知識とおすすめの楽しみ方を紹介

近年、お酒の世界で注目されているのが「クラフトサケ」というキーワードです。従来のお酒とは異なる新たなトレンドですが、「具体的にどのようなものかわからない…」と感じている人もまだまだ多いのではないでしょうか。クラフトサケの基礎知識や、普通の日本酒との違い、おすすめの楽しみ方を紹介します。

クラフトサケの基礎知識

 クラフトサケとは、従来の「日本酒」の枠にとらわれない、新たなお酒を指す言葉です。クラフトサケブリュワリー協会では、クラフトサケを次のように定義しています。

日本酒(清酒)の製造技術をベースとして、お米を原料としながら従来の「日本酒」では法的に採用できないプロセスを取り入れた、新しいジャンルのお酒。
※クラフトサケブリュワリー協会(https://craftsakebreweries.com)より引用

 日本の酒類は、酒税法により厳格に管理されています。清酒製造場を開くためには製造免許の取得が必須ですが、そのための条件を満たすのは決して簡単ではありません。日本酒の国内消費量が減少する今、「苦労して製造免許を新規取得しても、事業として成功させる見込みが立たない」というのが現状です。新規参入は非常に厳しい状況の中、清酒製造場や清酒の出荷数量は年々減少傾向にあります。
 このような日本の日本酒市場を変えるために新たに誕生したのが、クラフトサケです。伝統的な清酒の製造方法を踏襲しつつも、より自由に、新たなエッセンスを加えることで「清酒」という枠組みから外れています。酒税法上の分類を「清酒」ではなく、あえて「その他の醸造酒」や「雑酒」にすることで、より自由な酒造りと新規参入を促したのです。クラフトサケは、大きく次の2種類に分類されます。

  • どぶろくタイプ(副原料を入れないもの)
  • ボタニカルタイプ(フルーツやハーブ、ホップといった植物系の副原料を入れたもの)

 クラフトサケの登場により、日本酒はより豊かな味の表現が可能になりました。既存のルールにとらわれない新たな「サケ」が多数生まれ、幅広い層のファンを獲得しています。

クラフトサケが注目される理由

 クラフトサケの製造に取り組む事業者や、新たなお酒を提供する飲食店も増えてきています。クラフトサケが注目される理由は「多様性」だと言えるでしょう。クラフトサケ造りには、従来の清酒造りではありえなかったさまざまな原料が取り入れられています。ホップやハーブ、フルーツに植物など、これまでにない素材を取り入れることで、味のバリエーションは非常に豊かに。「これまで日本酒に対して苦手意識があった」「清酒よりもワインやビールのほうが好き」といったニーズにも応えられるようになっています。
 新規参入が進んだことで、各醸造所では個性を演出するためにさまざまな取り組みを行っています。味に対するこだわりはもちろん、クラフトサケが造られるまでの過程やパッケージデザインで「ブランド発信」に力を入れる醸造所も少なくありません。
 「味」も「見た目」も「ブランド」も自由なクラフトサケ。好みのお酒を自分自身で見つけ味わえるという点こそが、多くの人を惹きつける理由なのでしょう。

50代~60代向けクラフトサケの魅力や楽しみ方

 「新しいジャンルのお酒」として、幅広い世代で注目されるクラフトサケ。次から次へと新たな味わいのお酒が誕生していく様子は、過去にさまざまなお酒をたしなんできた50代~60代にとっても魅力的に映るでしょう。大人世代がクラフトサケを楽しむなら、ぜひ次のような方法を取り入れてみてください。

★飲食店巡り

 個性豊かな味わいが多数登場しているクラフトサケ。それが魅力である一方、「好みの味を見つけ出すまでが大変」という特徴もあります。好みのクラフトサケに出会いたいなら、できるだけ多くのお酒を実際に飲んでみるのがおすすめです。クラフトサケを扱っている飲食店へと足を向ければ、好みのお酒を1杯から手軽に楽しめるでしょう。
 クラフトサケを扱う飲食店では、提供する料理と相性の良いお酒を提供しています。クラフトサケ単体ではなく、料理とのマッチングも醍醐味の一つです。

★イベント参加

 クラフトサケの魅力を世界各地へと発信するため、イベントも多数開催されています。知人や友人と参加して、新たなお酒や料理と出会うのもおすすめの楽しみ方です。クラフトサケのイベントの中でも、特に注目されるのが一年に一度開催される「CRAFT SAKE WEEK」です。イベント期間中は数多くの酒造が個性的なクラフトサケを披露。おいしい料理とセットで楽しめるでしょう。またクラフトサケ酒造が自社製品のお披露目のために、独自でイベントを開催するケースも少なくありません。情報収集して、お出かけしてみるのもおすすめです。

★酒蔵巡り

 クラフトサケ造りに取り組む酒造は、全国各地にあります。観光がてら、酒造巡りを楽しんでみるのも良いでしょう。酒造ではさまざまなお酒を購入できるほか、醸造過程を見学できるところもあります。新作のクラフトサケに、いち早く出会えるかもしれません。大人の社会見学のような気分で、訪れてみてください。

★親しい人への贈り物として

 クラフトサケには、パッケージにこだわったおしゃれなものも多くあります。華やかな雰囲気は贈り物にしてもぴったり。「何を贈れば良いのかわからない…」と悩みがちな、若い世代向けのプレゼントとしてもおすすめです。

 このように、クラフトサケの魅力はとにかく自由なことです。楽しみ方も人それぞれで、堅苦しいルールは存在しません。自分なりの楽しみ方を開拓してみてくださいね。

クラフトサケはどこで買える?

 クラフトサケを購入する方法はさまざまです。各酒造はもちろん、クラフトサケを取り扱っている飲食店やセレクトショップで購入できるケースもあるでしょう。より手軽にさまざまな種類のお酒を購入するなら、おすすめはインターネット通販です。各酒造が開設する公式サイトの多くでは、オンラインショップを運営しています。好みのお酒を選んで注文すれば、自宅まで届けてもらえるでしょう。ただし人気のクラフトサケの中には、品切れになってしまうものも少なくありません。より確実に入手するためには、事前に情報収集しておくのがおすすめです。酒造の中には、公式SNSをフォローすることで、いち早く入荷案内を受け取れるサービスもあります。ぜひ活用してみてください。

クラフトサケの基本を知って新たなお酒を楽しもう

 近年注目されるクラフトサケは、これまでにない「個性」が魅力です。日本酒はあまり得意ではない…という方も、新たな味わいに出会えるのではないでしょうか。クラフトサケの特徴は、とにかく「自由」であることです。これまでにない個性豊かなお酒との出会いを、ぜひ積極的に楽しんでみてください。