ウイスキーはどんなお酒?
種類・飲み方・選び方を解説

美しい琥珀の色合いと、奥深く豊かな香りが印象的なウイスキー。「大人のお酒」というイメージが強いですが、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。ウイスキーのおいしい飲み方とともに解説します。
世界中で多くのファンを獲得しているウイスキーの世界に、足を踏み入れてみてください。

ウイスキーとはどのようなお酒?

 ウイスキーは、「蒸溜」という工程を経て造られる「蒸溜酒」の一種です。お酒を造るのに使われる原料は麦芽やトウモロコシなどの穀類。糖化・発酵させたのちに蒸溜し、木製の樽に詰めて熟成させればウイスキーの完成です。熟成期間は短くても3年ほど。長いものになると10年以上に及ぶものもあり、手間と時間がかかる贅沢なお酒と言えるでしょう。また、ウイスキーはワインや日本酒と比べてアルコール度数が高く一般的には40~43度ほどあります。原料や熟成期間によって、味わいや香りが大きく変化していきます。

ウイスキーの種類と特徴

 ウイスキーは主に、「原料」と「産地」によって分類されます。それぞれの特徴をチェックしてみましょう。

ウイスキーの原材料別種類

 ウイスキーの種類を原材料別に見ていきましょう。

● モルト・ウイスキー

 大麦麦芽だけを原料にして造られるのが、モルト・ウイスキーです。また、シングル・モルトウイスキーとは、単一蒸溜所で造られるモルト・ウイスキーのことをいいます。蒸留所毎で異なる味わいが楽しめます。

● グレーン・ウイスキー

 主原料に穀物類を使い、大麦麦芽を糖化酵素として加えて造られるウイスキーです。主原料に使われるのは、トウモロコシやライ麦、小麦など。軽くすっきりとした味わいで、飲みやすいのが特徴です。

● ブレンデッド・ウイスキー

 モルトとグレーンの原酒を混ぜ合わせて作るのが、ブレンデッド・ウイスキーです。味わいが異なる複数のウイスキーを混ぜ、まったく新しい風味を生み出すため、それぞれの個性を引き立てあいます。飲みやすさの中にもブレンデッドならではの複雑な味わいが感じられ、その奥深さを楽しめるでしょう。

● その他

 ライ麦を中心に造られるライ・ウイスキーや、トウモロコシを主原料に造られるコーン・ウイスキーなどが含まれます。ライ・ウイスキーはほのかな苦みとスパイシーさが、コーン・ウイスキーはほのかな甘みが特徴的です。

ウイスキーの産地別種類

 続いては、世界的に有名な「世界5大ウイスキー」について紹介いたします。具体的な種類は以下のとおりです。

● ジャパニーズ・ウイスキー

 日本国内で生産されるジャパニーズ・ウイスキーは、大麦や小麦を原料に造られています。口当たりと香りが柔らかく、飲みやすいのが特徴です。まろやかな味わいは、スコッチ・ウイスキーと似た雰囲気を持ちます。近年、世界的に好評を博しているジャパニーズ・ウイスキーは、国内でも入手困難と言われる銘柄が複数あります。

● アメリカン・ウイスキー

 アメリカで生産されるウイスキーで、法律によって原料や製法が厳格に定められています。原料は単一ではなく、トウモロコシやライ麦など穀類が混合されています。トウモロコシが原料に含まれるウイスキーは、甘い口当たりが特徴的です。

● カナディアン・ウイスキー

 カナダ国内で、3年以上熟成させて造られるのがカナディアン・ウイスキーです。特徴としては、5大ウイスキーのうち、カナディアン・ウイスキーのみ、制限の範囲内でカナダ産以外のお酒を添加して良いとされています。香りに影響を与えるワインなどウイスキー以外の酒を添加することも可能です。カナディアン・ウイスキーはブレンデッドが主流で5大ウイスキーの中で最もマイルドな味わいです。

● スコッチ・ウイスキー

 イギリスのスコットランド地方で造られるのがスコッチ・ウイスキーです。世界で生産量が最も多いウイスキーと言われています。麦芽を乾燥させるときに使用する泥炭、ピート臭が特徴的です。癖の強いスモーキーな香りに魅了される人も多く、長く愛されているウイスキーです。

● アイリッシュ・ウイスキー

 ウイスキー発祥の地とも言われるアイルランド産のウイスキーです。モルト、グレーン、ブレンデッドの他にもう1つ、アイリッシュ・ウイスキーにしか存在しない、ポットスチルがあります。アイリッシュ・ウイスキーは、雑味や癖が少なく、ウイスキーに慣れていない人でも飲みやすいでしょう。

ウイスキーのおいしい飲み方を解説

 ウイスキーにはさまざまな飲み方があります。おいしい飲み方を紹介するので、好みの味わいを探してみてください。

● ストレート

 ウイスキーを、そのまま原液で楽しむのがストレートです。それぞれのウイスキーが持つ香りや味わいをダイレクトに楽しめる飲み方で、ウイスキー上級者におすすめ。ストレートで楽しむときには、必ずチェイサーを用意して、交互に口にするようにしましょう。

● オンザロック

 時間の経過とともに氷がとけ、味の変化を楽しめるのがオンザロックの特徴です。氷とグラスがぶつかる、爽やかな音も楽しんでみてください。冷えたグラスに大きめの氷を入れ、ウイスキーを入れましょう。マドラーで軽く混ぜたら完成です。

● 水割り

 ウイスキーの風味や香りを堪能しつつ、アルコール度数低めで安心して飲める水割り。癖が少ないため、食事に合わせやすいのも嬉しいポイントです。冷えたグラスに氷を入れ、「ウイスキー1 対 天然水2~2.5」の割合で注ぎましょう。マドラーで軽く混ぜたら完成です。

● ハイボール

 すっきり爽やかで、さまざまな料理に合わせやすいのがハイボールの特徴です。安価で手軽に楽しめます。作り方も簡単で、冷やしたグラスに「ウイスキー1 対 炭酸水3~4」の割合で注ぐだけ。かき混ぜすぎると炭酸が抜けてしまうので注意してください。

● お湯割り

 温めることで、ウイスキーのふくよかな香りを満喫できるでしょう。耐熱性のグラスに「ウイスキー1 対 お湯2~3」の割合で注いで作ります。レモンやハーブ、シナモンスティックなど、トッピングを加えて楽しむのもおすすめです。

ウイスキーはカクテルもおすすめ!
おすすめ4種

 ウイスキーはカクテルのベースにしてもおいしく飲めます。普段とは異なる味わいを楽しみたいときには、ぜひ次の4種を試してみてください。

● マンハッタン

 ウイスキーを使った定番のカクテルです。ウイスキー2に対してスイート・ベルモットを1、アロマチック・ビターズを1ダッシュ加え、ステアして仕上げます。チェリーを飾れば完成です。ハーブの風味が特徴的です。

● ニューヨーク

 ニューヨークで長く親しまれてきたカクテルです。ウイスキー3に対してライムジュースを1、グレナデンシロップをティースプーン半分、砂糖ティースプーン1杯を加え、シェイクします。オレンジピール適量を加えれば完成です。ほのかな甘みで飲みやすいでしょう。

● ラスティネール

 スコッチ・ウイスキーの特徴的な香りを存分に楽しめるカクテルです。ウイスキー2に対してドランブイを1の割合で加え、シェイクして仕上げます。アルコール度数は高いものの、甘い飲み口で人気です。

● ミントジュレップ

 ミントの爽やかな香りで、女性に人気のカクテルです。バーボン・ウイスキー60 mlに砂糖と水をそれぞれティースプーン2杯ずつ。そしてミントの葉を加えて葉をつぶすようにして砂糖を溶かしましょう。グラスにクラッシュドアイスを詰めて、ステアすれば完成。オレンジスライスやレッドチェリーがよく合います。清涼感を楽しんでみてください。

自分にぴったりなウイスキーと出会うコツ

 種類豊富なウイスキーだからこそ、初心者にとっては「どれを選べば良いのかわからない」と悩みがちです。好みの味に出会うためには、ぜひ次の3つのポイントを意識してウイスキー選びをしてみてください。

① 熟成年数や熟成樽、製法に注目してみよう
② 予算を設定しよう
③ 初心者はブレンデッド・ウイスキーから挑戦を

 ウイスキーの味は、主原料はもちろんですが、生産地、熟成年数や樽の種類によって大きく違ってきます。熟成年数が長くなればなるほど、味わいはまろやかになるでしょう。果実のようにかろやかな味わいを楽しみたいなら、シェリー樽で熟成されたウイスキーがおすすめ。バニラやカラメルのようなクリーミーな味わいを楽しみたい人にはバーボン樽がぴったりです。濃厚な風味を楽しみたいなら、ブランデー樽をチョイスしましょう。またウイスキーは、価格の幅が広いお酒です。高いものから安いものまで多種多様だからこそ、まずは無理なく購入できる予算を設定してみてください。その中から、希望に合致するものを選んでいくと失敗しづらくなります。
 「本当に初心者でウイスキーの味も種類もわからない」という場合には、ぜひブレンデッド・ウイスキーから挑戦してみてください。モルト・ウイスキーとグレーン・ウイスキーをブレンドして作るブレンデッド・ウイスキーは、両者の特徴を引き継ぎ、バランスの良い仕上がりになっています。初心者でも飲みやすく、万人受けしやすい味と言えるでしょう。

ウイスキーの奥深い世界を楽しんでみて

 ウイスキーの歴史は非常に古く、奥深い味や香りを楽しませてくれます。ストレートで楽しむ以外にも、ハイボールやカクテルなど、好みのスタイルで味わえるのも魅力の一つ。いろいろ試してみれば、きっと好みの味が見つかるでしょう。ウイスキーに関する基礎知識を身につけ、ぜひその魅力にはまってみてください。