“本当にあった”医師が語る不動産投資の怖い話
~ある医師の失敗談から学ぶべき教訓~
資産形成の一環として不動産投資を始める医師が多い中、成功だけでなく失敗もあります。本記事では、ある医師の体験を通じて、不動産投資のリスクと対策を考えます。不動産市場が揺れる今、あなたの資産も見直す時期かもしれません。

医師としての多忙な日々の中で、不動産投資に挑んだ渡辺氏
地方で開業する医師の渡辺氏(仮名)。多忙な診療の傍ら、将来の資産形成や老後の年金対策を目的に、不動産投資に踏み出したのは今から約10年前のことでした。当時、知人から紹介された不動産会社は、与信の高い医師という立場を活かし、区分マンションへの投資を強く勧めてきました。
「節税効果もあり、年金対策としても最適です。今なら低金利ですし、医師というあなたしか持っていないステータスを活かせばレバレッジを効かせて複数購入も可能です。マンションオーナーになりましょう。」との甘い言葉に後押しされ、渡辺氏は知人の紹介という安心感もあり、詳細なリスク分析を十分に行わないまま契約に踏み切り、数年で15件もの投資用区分マンションのオーナーになることに。
ポイント
区分マンション投資とは
区分マンション投資とは、マンションの一部である「一室」を購入し、購入 区分マンション投資とは、マンションの一部である「一室」を購入し、購入者(マンションオーナー)はその部屋を賃貸として貸し出すことで賃料収入を得たり、所得の損益通算を行うことで節税を図る投資を指します。また、インフレによるマンションマーケットの過熱化により、売却による利益を出せるケースも増えております。
個人信用を活かしたフルローンを前提として少額の資金から始められるため、大手企業に勤めるサラリーマンや公務員、士業の方に人気があります。しかし、マンション全体の管理や維持費がかかるほか、賃料下落や空室リスク、経年劣化による資産価値の減少といったデメリットもあります。近年、サブリース問題や相場とかけ離れた金額で高値掴みをさせられるケースが問題となっております。
投資初期は順調も、見えないリスクが徐々に浮き彫りに
マンションオーナーとなった渡辺氏も最初の数年間は大きな問題もなく運用が進みました。物件の中には売却で利益が出たものもあり、渡辺氏自身も「このまま続ければのもあり、渡辺氏自身も「このまま続ければ順調に資産が増える」と感じていました。しかし、数年が経つにつれ、不動産市況の変化や物件の維持管理費用が増加し始めたことで、渡辺氏の不動産投資の現実が変わり始めます。特に、物件の中に含まれていたサブリース契約のマンションが厄介な問題を引き起こしました。
「契約当時は考えてもいなかったリスクが、後から降りかかることになるとは思いもしませんでした。」と渡辺氏は振り返ります。
ポイント
サブリースとは
サブリースとは、不動産会社が物件の所有者からその物件を一括で借り上げ、第三者に転貸(また貸し)する仕組みのことを指します。物件の所有者は、空室の有無に関係なく一定の家賃収入を得られるというメリットがありますが、契約には注意が必要です。
例えば、「契約解除が難しい」「途中で家賃が引き下げられる可能性がある」「解除する際に高額な費用がかかる」といった条件が隠されている場合サブリースとは
サブリースとは、不動産会社が物件の所有者からその物件を一括で借り上げ、第三者に転貸(また貸し)する仕組みのことを指します。物件の所有者は、空室の有無に関係なく一定の家賃収入を得られるというメリットがありますが、契約には注意が必要です。
例えば、「契約解除が難しい」「途中で家賃が引き下げられる可能性がある」「解除する際に高額な費用がかかる」といった条件が隠されている場合があります。そのため、契約内容をよく確認することが重要です。借地借家法を盾にサブリース解約ができないケースが急増しております。
売却査定で判明した予想外の現実
渡辺氏が投資の見直しを考えたのは1年前。新たな投資を検討するにあたり、資金調達のために残る12件のマンションを売却しようとしたのです。不動産仲介を専門とする会社に査定を依頼したところ、渡辺氏は耳を疑いました。査定の結果、12件の物件を売却するには諸経費やローン残高を賄うために1,000万円以上の持ち出し金が必要であることが判明しました。一見、日本の主要都市に位置し「資産価値が高そう」と思われた物件の多くが、実際には買い手がつかない状況に陥っていたのです。特に、サブリース契約の物件については問題が深刻でした。解除が不可能な契約もあれば、解除には半年分のサブリース賃料を求められるなど、渡辺氏が当初想定していた条件とかけ離れた現実が待っていました。
結果的に、渡辺氏は12件の売却を断念し、現在も保有を続けています。月々のキャッシュフローについても赤字の物件が多数で、年間の固定資産税の支払いなども含めた全体のキャッシュフローにも大きな懸念が残ります。
読者への提言
不動産資産を見直すべき時期が来ている
渡辺氏のケースは、不動産投資のリスクを十分に理解せず、甘い言葉に乗せられた結果として起こり得る事例の一つです。不動産市場は、昨今の中古マンション価格の高騰や利回りの低下を受けて変化の時を迎えています。
読者の皆さまの中にも、過去に購入した物件が現在どのような運用状況にあり、資産価値はどのくらいなのか把握できていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。今一度、資産を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
※本記事は、個人情報が特定されないよう、登場人物の名前は仮称 を使用し、エピソードや内容についても一部脚色しています。