寝心地のよさは、自然な眠りのカタチから

マットレスを使う理由

 マットレスを使う理由の一つは、良質な睡眠を得ること。そのためには眠っているときにかかるカラダや腰への負担を軽減することが大切です。睡眠中、腰やカラダ全体には大きな圧力(体圧)がかかっています。その体圧を分散することで、カラダへの負担を軽減することができるのです。

背筋が伸びた状態で眠ることそれが自然な眠りのカタチでした

 このことは、立っているときと眠るときの身長差に現れます。立っているときは重力をうけて縮んでいた椎間板が、眠るときには解放され伸びるからです。

寝心地のよさには自然な寝返りが必須でした

 人は一晩に約20回の寝返りをすることが一般的だと言われています。寝返りは、ただ単に眠りの中で行われている動きではなく、ちゃんとした役割があります。それは、寝心地の良さへとつながる大切な役割。

◆ 寝返りをする理由

 寝返りをする理由は、2つあります。ひとつは血液の流れが悪くならないようにすること。寝返りをせずに同じ姿勢で眠っていると体重が一点にかかり続けて血流の流れが悪くなります。そうならないように自然と寝返りをしているのです。もうひとつは寝床の中の温度や湿度を整えることです。長時間寝ていると、高くなる寝床の中の温度や湿度を寝返りすることで空気の対流を作り、調整しているのです。

寝心地のよさのために適切なマットレスの硬さを選びましょう

 寝心地のよさとマットレスの硬さは関係しています。一般的に左記の表のように柔らかいマットレス、硬いマットレスそれぞれにメリット、デメリットがあります。人間工学の権威、小原二郎氏の研究でも、硬すぎるマットレスで眠ると背中、お尻に圧力が集中し、しびれや痛みのため、寝返りの数が多くなり疲れてしまうという結果がでています。逆に柔らかすぎるマットレスの場合は、背中とお尻が落ち込みカラダが安定せず寝返りがうちにくくなり、疲れがとれないという結果がでています。

小原二郎(こはらじろう) 1916年 ― 2016年
千葉大学名誉教授。農学博士。専攻は人間工学。